非上場株式を保有していても、「証券会社に相談すれば売却できるのでは」と考える人は少なくありません。しかし、証券会社は原則として非上場株の取扱いを行っておらず、仲介や売買の支援はできない仕組みになっています。この記事では、その理由とあわせて、目的に応じて相談すべき専門機関を紹介します。
証券会社は上場株式の売買を主な業務としていますが、非上場株式の取引には制約があります。仕組みを理解しないまま相談すると、時間や手間をかけても対応してもらえないケースも少なくありません。ここでは、証券会社に相談する前に押さえておきたい基本的なポイントを解説します。
証券会社は、証券取引所を通じて上場株式の売買を仲介し、公正な市場取引を維持する役割を担っています。上場株式は「市場価格」に基づいて公開市場で取引される仕組みのため、価格形成の透明性が確保されています。
これに対し、非上場株式には市場価格が存在せず、取引の基準も明確ではありません。そのため、証券会社を通じた売却は制度上できないのが実情です。仮に証券会社が独自に価格を設定して仲介した場合、価格の妥当性や契約条件をめぐって法的トラブルに発展するおそれがあります。
一部の証券会社では、投資銀行部門(IB部門)やプライベートバンキング部門、M&A仲介部門など、法人や富裕層を対象とした専門部署を設けています。こうした部門では、例外的に非上場株式の売却を取り扱うケースも見られます。
非上場株式を「市場取引」ではなく「企業間の資本取引」と位置づけ、M&A(企業の合併・買収)や事業承継、資金調達、IPO準備などの案件を専門的に支援するのが特徴です。
ただし、対応の対象は数億円規模の法人取引やオーナー経営者による株式整理に限られ、個人が保有する少数株の単発売却を扱うことはほとんどありません。
非上場株式の売却を検討している場合、証券会社以外にも相談できる専門家や機関が存在します。目的や状況によって最適な相談先は異なり、法的支援を要するのか、税務や評価を整理したいのかによって選択肢が変わります。ここでは、証券会社以外で相談可能な主な専門機関と、それぞれの特徴を紹介します。
株式の買取を拒否されたり、売却価格をめぐって対立が生じたりするなど、法的トラブルの解決を目的とする場合は、弁護士への相談が有効です。弁護士は、価格や条件の交渉をはじめ、話し合いに応じてもらえない際の「株式譲渡承認請求」や「株式買取請求」といった手続きを代理して対応します。紛争の兆しがあるときは、早期に弁護士へ相談することが望ましいでしょう。
親族から相続した株式の評価や、売却時の税金に関する悩みがある場合は、税理士への相談が適しています。税理士は、会社の財産や収益状況をもとに株価を算定し、売却で得た利益(譲渡所得)にかかる所得税や住民税を計算します。さらに、税負担を抑えるための提案や確定申告のサポートも行うため、税務面で心強い専門家といえます。
買い手が見つからないという課題に対しては、M&A仲介会社への相談が有効です。企業の合併や買収を専門とするM&A仲介会社は、幅広いネットワークを活用して買い手候補を探索し、マッチングを支援します。さらに、売却価格や条件が不利にならないよう、専門的な知見にもとづいて交渉をサポートします。
証券会社との大きな違いは取り扱う案件の規模と対象層です。証券会社のIB部門が主に上場企業や上場準備企業を対象とするのに対し、M&A仲介会社は中堅・中小企業やオーナー経営者を中心に、事業承継・株式譲渡・持株売却といった実務的支援を行います。
多くの証券会社は、非上場株式の売却仲介に対応していません。ただし、グループ内に専門部門を設けている場合に限り、一定規模以上の法人案件であれば取り扱える可能性があります。
非上場株式の売却では、弁護士法人・税理士法人・M&A仲介会社など、状況に応じて適切な相談先を選ぶことが重要です。自分の立場や目的に合った専門家に相談することで、円滑かつ安全な取引につながります。
以下のページでは、非上場株式売却の状況・悩み別に相談できる事務所や会社を紹介しています。相談先選びの材料としてご活用ください。
非上場株式の取引は、上場株と違い法的手続きや税務対応が複雑なため、専門家への相談が不可欠です。
ここでは、弁護士・税理士・M&A仲介会社の中から、目的別に信頼できる3つの相談先を厳選してご紹介します。
一部の株式買取業者は、無登録での営業や詐欺的な手法、非弁行為(弁護士でない者が弁護士の業務を行うこと)など違法性が問題視されており、大阪高等裁判所2024年7月12日判決では株式買取業者の行為が非弁行為にあたると判断された判例もあります。また、高額買取をうたって実際は買い叩くケースもあるため、一定のリスクがあることを理解したうえで相談することが重要です。
株式買取に詳しく、M&Aやファイナンス理論の知見があることが重要です。対応実績と交渉力を事前に確認しましょう。
資産税・自社株評価に強い税理士法人か確認。M&Aや法務に対応できる他士業と連携しているかどうかも大切です。
業種や規模に合った買い手ネットワークを持っているかを見極めましょう。成約するまでのスピードもポイントです。