少数株主の訴訟について

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会社とのトラブルにおいて、少数株主であっても法的に守られた権利が存在します。この記事では、ご自身の持株比率に応じた権利や、帳簿閲覧・株主代表訴訟といった、少数株主が活用できる具体的な法的手続きの仕組みを整理して解説。経営陣の不当な扱いによって不利益を被らないよう、正当な権利を行使するための知識を深めていきましょう。

少数株主が訴訟を検討する主な背景

非上場会社の少数株主が法的措置を検討するきっかけとして、以下のようなトラブルが頻発しています。

少数株主が取り得る主な法的手段と持株要件

持株要件の定義

所有する株式の割合によって、行使できる法的権利は異なります。1株でも保有していれば行使可能な「単独株主権」と、一定割合(1%、3%、10%など)の保有を条件とする「少数株主権」です。まずはご自身の持株比率を正確に把握してください。持株比率に応じた法的権利を確認することが、適切な解決策を選択するための第一歩となります。

会計帳簿閲覧謄写等による情報取得

経営陣の不正を追及するには、確固たる証拠が不可欠です。議決権または発行済株式の3%以上を保有する株主は「会計帳簿閲覧謄写請求権」を行使できます。会計帳簿閲覧謄写請求権によって帳簿のコピーを入手し、会社の資金流用や不透明な経理の証拠を掴むことが可能です。不透明な経営状態を明らかにし、経営陣との交渉において事実に基づいた実効性のある協議を進めやすくなります。

株主総会決議取消の訴え

少数株主を排除して行われた総会決議は、法的手続きによって覆すことが可能です。招集通知の漏れなど手続きに違反がある場合、1株でも保有していれば「株主総会決議取消の訴え」の提起ができます。株主総会決議取消の訴えが認められれば、経営陣による強引な決議を無効化することが可能に。経営陣の暴走に明確なストップをかけ、少数株主の権利を守り抜くための強力な防衛手段となるでしょう。

株主代表訴訟

取締役の違法行為によって会社に損害が生じた際、経営陣個人の責任を追及できる制度が存在します。非上場会社の場合、1株でも保有していれば(単独株主権)行使可能です。

ただし即座に裁判を起こせるわけではありません。まずは会社に対して取締役を提訴することを請求します。会社が一定期間(原則60日)対応しない場合に初めて、少数株主が会社に代わって「株主代表訴訟」を提起することが可能です。適正な手続を踏んで経営陣の違法行為を是正させることは、会社の損害を回復させ、結果として少数株主が保有する株式の価値を守ることへ直結します。

株式売買価格決定の申立て

譲渡制限株式の買取を会社に請求した際や、組織再編に伴う株式買取請求など、特定の法的手続きにおいて会社側から不当に低い価格を提示された場合、その言い値に応じる必要はありません。買取対象となる株式を1株でも保有していれば、裁判所へ「株式売買価格決定の申立て」を行うことが可能です。経営陣による理不尽な買い叩きを防ぎ、適正価格での売却を実現できるでしょう。

訴訟提起におけるメリット・デメリット

メリット:交渉における公的強制力の作用

訴訟を起こす大きなメリットは、裁判所という公的な機関が介入することで、経営陣が少数株主の要求を無視できなくなる点です。これまで不利な立場で話し合いに応じてもらえなかった場合でも、相手方に法的な対応を迫ることができるため、より対等な立場で交渉を進めやすくなります。

法的手続きが始まれば、経営陣は少数株主の要求を無視できません。裁判所の介入によって不利な力関係を是正し、より対等に近い立場で協議を進められる可能性があります。

デメリット:訴訟に伴う時間的・金銭的コスト

裁判には数年単位の期間を要する厳しい現実があります。長期にわたる精神的消耗に加え、多額の弁護士費用が発生します。勝訴しても、費やしたコストが回収額を上回る費用倒れのリスクがある点を冷静に見極めることが必要です。

訴訟を背景とした和解・買取事例

実際に法的措置を講じたことで、少数株主が有利な結果を勝ち取った事例は数多く存在します。ここでは、法的権利の行使を背景に、経営陣から適正価格での株式買取を引き出した具体的な事例をご紹介しましょう。

事例1:会計帳簿閲覧請求から適正価格での買取を実現したケース

経営陣の資金流用を疑った少数株主が、会計帳簿閲覧謄写請求権を行使した事例です。裁判所を通じて帳簿を開示させ不正の証拠を確保し、責任を追及する姿勢を示しました。

結果として会社側は訴訟を恐れて態度を軟化させ、希望する適正価格での株式買取による和解が成立しました。法的権利の行使により理不尽な買い叩きを防ぎ、納得のいく資金を獲得できた成功例です。

事例2:会社法に則った法的手続きを駆使し少数株主の権利を回復したケース

義弟に68%の議決権を掌握され、25年間無配当のまま少数株主の権利を一切排除されてきた事例です。少数株主は会社法に基づく法的手続きを活用し、裁判所の関与のもとで公正な株価を決定させました。

コロナ禍による審理の遅延を経ながらも約3年で決着し、適正価格での株式売却が実現しています。法的手段によって長年の不当な扱いに終止符を打ち、株式を現金化して子孫に残すことができた成功事例です。

代替案としての専門業者への株式売却

株式売却による現金化の仕組み

訴訟に伴う莫大な時間と費用、そして精神的な消耗を回避する現実的な選択肢として、専門業者への株式売却がおすすめです。非上場会社の株式には通常譲渡制限が設けられているため、第三者へ売却する際には会社への譲渡承認請求といった法的手続きが必要になりますが、専門業者に依頼すれば、こうした複雑な手続きのサポートを受けられます。

専門業者の支援のもとで適切に手続きを進め、株主としての地位と権利を業者へ移転させることで、経営陣との直接的な対立を長引かせることなく、早期に株式を現金化し、交渉に伴う精神的・時間的な負担を軽減できるというメリットがあるのです。

訴訟の現実と
トラブル解決に向けた第一歩へ

少数株主の皆様には、経営陣の不正や不当な扱いに対抗するための強力な法的権利が用意されています。しかし、実際に訴訟を遂行するには、費用や時間といった高いハードルがあるでしょう。法的措置と株式売却のどちらが適切な選択かは、状況によって異なります。一人で悩みを抱え込まず、まずは非上場株式のトラブル解決に強い専門家へご相談ください。

以下のページでは、非上場株式売却における状況・悩み別に相談できる事務所や会社を紹介しています。相談先選びの材料としてご活用ください。

非上場株式売却で
よくある悩みと
主な相談先

非上場株式の取引は、上場株と違い法的手続きや税務対応が複雑なため、専門家への相談が不可欠です。
ここでは、弁護士・税理士・M&A仲介会社の中から、目的別に信頼できる3つの相談先を厳選してご紹介します。

株式買取業者は、詐欺行為や無登録営業による違法性が問題になっている

一部の株式買取業者は、無登録での営業や詐欺的な手法、非弁行為(弁護士でない者が弁護士の業務を行うこと)など違法性が問題視されており、大阪高等裁判所2024年7月12日判決では株式買取業者の行為が非弁行為にあたると判断された判例もあります。また、高額買取をうたって実際は買い叩くケースもあるため、一定のリスクがあることを理解したうえで相談することが重要です。

※参照元:大阪高裁令6.7.12判決(判例タイムズ1530号86頁) (https://www.hanta.co.jp/books/8743/)
少数株式を円満に
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例えばこんなケースに
  • 会社に株式買い取りを依頼したところ、安い買取価格を提示された
  • 相続した株式を手放したいが、トラブルになりそう
良い弁護士事務所の選び方

株式買取に詳しく、M&Aやファイナンス理論の知見があることが重要です。対応実績と交渉力を事前に確認しましょう。

株式売却に伴う
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例えばこんなケースに
  • 株式を譲渡するにあたり、税負担を最小限にしたい
  • 親から相続した非上場株式の評価や税金が心配
良い税理士事務所の選び方

資産税・自社株評価に強い税理士法人か確認。M&Aや法務に対応できる他士業と連携しているかどうかも大切です。

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  • 第三者に売却したいが買い手の目処が立たない
良いM&A仲介会社の選び方

業種や規模に合った買い手ネットワークを持っているかを見極めましょう。成約するまでのスピードもポイントです。

非上場株式売却の
お悩み別の相談先
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