税金のトラブル

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非上場株式の売却では、売却益にかかる税金の扱いを誤ると、思わぬ課税や申告漏れに発展するおそれがあります。とくに、譲渡所得の計算方法や税率の区分、時価評価の考え方は誤解されやすいポイントです。この記事では、譲渡所得の基本ルールから同族会社間で起こりやすい税務上のトラブルまで、押さえておくべき注意点を整理して解説します。

譲渡所得の計算式と
基本ルール

非上場株式を売却して得た利益は「譲渡所得」として課税されます。計算の仕組みを理解していないと、思ったより税金が高くなる、あるいは申告漏れを起こすといったリスクもあります。まずは、譲渡所得の算出方法と基本的な考え方を確認しておきましょう。

譲渡所得の算出方法

株式の売却で得た利益は譲渡所得として扱われます。計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 収入金額 −(取得費 + 譲渡費)

ここで「収入金額」は株式の売却額を指し、「取得費」には購入時の代金や手数料などの取得に要した費用が含まれます。また「譲渡費」には、仲介手数料・印紙税など、売却のために直接かかった費用が該当します。

譲渡所得にかかる税率と課税の考え方

譲渡所得には課税が発生しますが、株式を売却する主体が個人か法人かによって適用される税率や課税方法が異なります。非上場株式の売却では、一般的に以下の税率が目安となります。

法人の場合は、利益の計上方法や損益通算の可否によって実際の税負担が変動することもあるため、状況に応じて税理士へ確認するのが確実です。

ただし、個人が株式の持ち主である発行会社に売却した場合は、所得額に応じて累進課税(最大で約55%)が適用されることがあります。所得税(5~45%)と住民税(10%)が課されるため、場合によっては大きな税負担となる可能性がある点に注意しましょう。

取得費が不明な場合の
課税ルール

取得費を推定できる「5%特例」

購入時の契約書や送金明細などが残っていない場合、税務上は「取得費ゼロ」と判断され、売却金額のほぼ全額が課税対象となるおそれがあります。こうした不公平を防ぐために設けられているのが「5%特例」です。取得費が不明な場合は、売却金額の5%を取得費(みなし取得費)として計算できる制度で、証拠資料が残っていないケースでの救済措置として活用されています。

5%特例を利用する際の注意点

5%特例は取得費が不明な場合の救済制度ですが、結果的に課税額が増えるリスクもあります。そのため、過去の契約書や振込記録を確認し、可能な限り実際の取得費を証明できる資料を確保しておくことが重要です。

たとえば、非上場株式の取得費が2,000万円、売却金額が1億円、売却時の費用が100万円、実効税率を約30%(法人)とした場合、譲渡所得は7,900万円、税額は約2,370万円。一方で、取得費が不明な場合にみなし取得費(収入額の5%=500万円)を用いると、譲渡所得は9,400万円、税額は約2,820万円となり、実際より約450万円多く課税される結果となります。

同族会社間売買の税務リスク

親族や関係者など、経営上つながりのある同族会社間で非上場株式を売買する場合には、税務上の評価が厳しくなる点に注意が必要です。取引価格が実際の時価よりも不当に低い・高いと判断されると、贈与税や所得税の追徴課税が発生するおそれがあります。ここでは、同族会社間での売買に潜む代表的な税務リスクを整理します。

時価での譲渡が原則

経営者や親族など関係の深い者同士で株式を売買する場合、税務上は「同族会社間取引」として扱われます。この場合、実際の売却額ではなく、税務上の基準となる時価(適正な株式評価額)をもとに課税額が算定されます。関係者間の取引では価格操作による税負担の軽減を防ぐ趣旨の運用です。

非上場株式では、税理士が算定した「株式評価額(時価)」を基準とするのが一般的です。時価より低い価格で取引した場合、差額が贈与とみなされて課税対象となることも想定され、結果として想定外の税負担に直面するおそれが生じます。

同族会社間で株式を売買する際は、税理士による算定に基づき、適正な時価で譲渡することが税務リスクを避けるうえでの基本です。

贈与税のリスク

同族会社間で株式を時価より大幅に低い価格で譲渡すると、税務署からみなし贈与と判断され、受け取った側に贈与税が課される可能性が高まります。とくに親子など近しい関係者の間で行う取引は、実質的な贈与と見なされやすく、追徴課税の対象となるおそれもあります。こうした事態を避けるには、税理士が算定した適正な時価を基準に取引を進めることが重要です。

法人税のリスク

同族会社間で株式を取引する際、実際の譲渡価格と本来の時価に大きな差が出ると、法人税の負担が想定以上に増える可能性があります。

時価より低い価格で売却すると、その差額が寄付金として処理されることがあり、経費(損金)に算入できないケースも存在します。結果として課税所得が増え、法人税が高くなる仕組みとなります。

こうした事態を防ぐには、税理士が算定した時価(株式評価額)を基準に取引価格を設定し、適正な条件で売買を行うことが肝心です。

税理士に確認すべきポイント

非上場株式の売却では、取引の内容によって課税額や計算方法が大きく変わるため、事前に税理士へ確認しておくことが欠かせません。とくに、取得費の扱いや時価評価、同族会社間取引のように判断が分かれやすい部分は、早い段階で専門家に相談しておくことで後々のトラブルを防げます。ここでは、税理士に確認しておきたい主なポイントを整理します。

適正価格の算定方法

非上場株式は市場取引がないため、価格の妥当性を自力で判断するのは難しい領域です。一般的には、類似業種比準法・純資産法・DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法といった手法を用いて算定しますが、企業の規模や業種、直近の業績によって適用の仕方が変わります。取引の目的や相手との関係性(親族間・第三者間など)を踏まえ、最適な評価方法を税理士に確認しておくと安心です。

取得費の証明

取得費が不明なときや、契約書・送金記録などの資料が手元にない場合は、早めに税理士へ相談するのが賢明です。過去の会計帳簿や出資履歴、登記簿などを確認することで、取得費を推定できるケースもあります。専門家の手を借りることで算定の誤りを防げるほか、税務調査が行われた際の説明資料としても信頼性が高まります。

税務調査への備え

非上場株式の売買は、同族関係の有無や評価額の妥当性をめぐって、税務署から注目されやすい取引のひとつです。税務調査に対応できるよう、時価算定の根拠や取引経緯を示す資料を整理し、内容の整合性を税理士とともに確認しておくことが欠かせません。

損失を防ぐために
専門家の力を借りる

非上場株式の売却は、税務の仕組みを誤解すると思わぬ損失につながる危険があります。計算方法や申告手続きには専門的な判断が欠かせないため、税理士に相談しながら進めるのが確実。ただし、税理士は売却先の選定や交渉を代行できないため、状況に応じて弁護士やM&A仲介会社など、適切な専門家を選定することが重要です。

  • 譲渡制限・反対株主・紛争などのトラブルを解決したい場合:弁護士法人
  • 相続した株式の評価や税金対策を知りたい場合:税理士法人
  • 買い手探索から株式譲渡・事業承継まで依頼したい場合:M&A仲介会社

以下のページでは、非上場株式売却の状況・悩み別に相談できる事務所や会社を紹介しています。相談先選びの材料としてご活用ください。

非上場株式売却で
よくある悩みと
主な相談先

非上場株式の取引は、上場株と違い法的手続きや税務対応が複雑なため、専門家への相談が不可欠です。
ここでは、弁護士・税理士・M&A仲介会社の中から、目的別に信頼できる3つの相談先を厳選してご紹介します。

株式買取業者は、詐欺行為や無登録営業による違法性が問題になっている

一部の株式買取業者は、無登録での営業や詐欺的な手法、非弁行為(弁護士でない者が弁護士の業務を行うこと)など違法性が問題視されており、大阪高等裁判所2024年7月12日判決では株式買取業者の行為が非弁行為にあたると判断された判例もあります。また、高額買取をうたって実際は買い叩くケースもあるため、一定のリスクがあることを理解したうえで相談することが重要です。

※参照元:大阪高裁令6.7.12判決(判例タイムズ1530号86頁) (https://www.hanta.co.jp/books/8743/)
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売却したいなら
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例えばこんなケースに
  • 会社に株式買い取りを依頼したところ、安い買取価格を提示された
  • 相続した株式を手放したいが、トラブルになりそう
良い弁護士事務所の選び方

株式買取に詳しく、M&Aやファイナンス理論の知見があることが重要です。対応実績と交渉力を事前に確認しましょう。

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例えばこんなケースに
  • 株式を譲渡するにあたり、税負担を最小限にしたい
  • 親から相続した非上場株式の評価や税金が心配
良い税理士事務所の選び方

資産税・自社株評価に強い税理士法人か確認。M&Aや法務に対応できる他士業と連携しているかどうかも大切です。

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業種や規模に合った買い手ネットワークを持っているかを見極めましょう。成約するまでのスピードもポイントです。

非上場株式売却の
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