非上場株式の相続は、現金や不動産とは異なる複雑さを伴い、思わぬトラブルに発展することがあります。特に、相続人が複数いる場合には株式が共有状態(準共有)となり、処分や売却が自由にできなくなることも少なくありません。本記事では、こうした非上場株式の共有リスクや、相続税評価額と実際の売却価格の違いについて解説します。
相続で非上場株式を受け継ぐ際、相続人が複数いると1人ずつに分けることが難しく、株式を共有する形になるケースが多いです。こうした共有状態は「準共有」と呼ばれ、意思決定や売却の場面で支障をきたすおそれがあります。次に、この準共有の仕組みと注意すべきリスクを見ていきましょう。
準共有となった非上場株式は、相続人のうち誰か一人の判断では売却できません。そのままでは資金化も難しく、経営への関与も制限されてしまいます。共有を解消するには、「誰がどの株式を引き継ぐのか」を定める遺産分割協議を進めることが欠かせません。
非上場株式が共有のままでは、相続人の一部が売却に同意しても手続きを進めることができません。株式の持分が明確に分かれていないため、誰が譲渡の主体となるかが法的に定まらないからです。このため、まずは遺産分割協議によって持分を確定させることが、売却への第一歩となります。
非上場株式の準共有状態を解消するためには、まず遺産分割協議を通じて各相続人の持分を確定させなければなりません。しかし、非上場株式は評価が難しく、会社の経営にも影響を及ぼすことから、引き継ぎ割合を巡る話し合いが長期化することもあります。
遺産分割協議がまとまるまでは、非上場株式は相続人全員の共有状態にあるため、売却や名義変更などの手続きを自由に進めることができません。会社の業績が下がっても対応できず、協議が長期化するほど資産価値が目減りするおそれがあります。もともと買い手が限られる非上場株式では、その損失がより深刻になりかねません。
非上場株式は市場で取引されていないため、相続税の計算に用いられる評価額と、実際に売却できる価格とが大きく異なることがあります。評価額はあくまで税務上の理論値であり、売却時には買い手の事情や会社の業績、将来性などが反映されるためです。ここでは、その差が生じる背景を整理します。
「相続税評価額」とは、相続や贈与で受け継いだ財産の価値を、税務上の基準に沿って算出した金額を指します。実際の取引価格とは異なり、税金を計算するための課税上の目安として使われるものです。非上場株式では、次の3つの方法が代表的な算定手法とされています。
非上場株式の相続税評価額と実際の売却価格は、算定の目的も基準も異なります。その差が大きいと、親族間や同族会社への譲渡では「贈与」や「寄附」と判断され、想定外の課税を受けるおそれも出てきます。
たとえば、相続税評価額が1,000万円の非上場株式を子へ500万円で売却した場合、差額の500万円が「贈与」とみなされる可能性があります。価格を決める際には、税理士や弁護士に相談し、業績や資産内容などの「合理的な根拠」を明確にしておくことが大切です。
非上場株式の相続には、売却が進まない「準共有」や、評価額の違いによって課税負担が増えるといった、専門知識を要する問題が潜んでいます。税務上の判断を求めるなら税理士、すでに会社との関係がこじれている場合は弁護士など、状況に応じて相談先を見極めることが大切です。
以下のページでは、非上場株式売却の状況・悩み別に相談できる事務所や会社を紹介しています。相談先選びの材料としてご活用ください。
非上場株式の取引は、上場株と違い法的手続きや税務対応が複雑なため、専門家への相談が不可欠です。
ここでは、弁護士・税理士・M&A仲介会社の中から、目的別に信頼できる3つの相談先を厳選してご紹介します。
一部の株式買取業者は、無登録での営業や詐欺的な手法、非弁行為(弁護士でない者が弁護士の業務を行うこと)など違法性が問題視されており、大阪高等裁判所2024年7月12日判決では株式買取業者の行為が非弁行為にあたると判断された判例もあります。また、高額買取をうたって実際は買い叩くケースもあるため、一定のリスクがあることを理解したうえで相談することが重要です。
株式買取に詳しく、M&Aやファイナンス理論の知見があることが重要です。対応実績と交渉力を事前に確認しましょう。
資産税・自社株評価に強い税理士法人か確認。M&Aや法務に対応できる他士業と連携しているかどうかも大切です。
業種や規模に合った買い手ネットワークを持っているかを見極めましょう。成約するまでのスピードもポイントです。