非上場株式や少数株式(会社の経営権を持たない少数の株式)を手放そうとする際、市場価格が存在しないため「時価」が場面によって指す内容の異なる曖昧な言葉になりがちです。
本記事では、非上場株式や少数株式の時価の考え方と、場面ごとに異なる算定の基準、そして時価とかけ離れた価格で取引するリスクについて解説します。
時価とは、本来「客観的な交換価値」、つまり第三者間で通常成立すると認められる取引価格を指します。上場株式は市場価格がそのまま時価となりますが、非上場株式には公表された相場がないため、一定のルールに基づいて価額を推計するほかありません。
ここで注意したいのが、算定によって導き出された評価額と、実際に売買できる価格は必ずしも一致しないという点です。評価額はあくまで理論上の目安であり、買い手の有無や交渉力、流動性の低さによって、実際の取引価格はそこから乖離することがあります。
非上場株式の時価は、どのような取引が発生するかによって算定の拠り所が変わります。
国税庁の財産評価基本通達に基づく相続税評価額が基準です。株主が経営に関与する同族株主かどうか、また会社の規模によって、類似業種比準方式や純資産価額方式など複数の評価方式の中から適用すべき方式が決まります。
所得税基本通達59-6や法人税基本通達9-1-14が定める税務上の時価が問題となります。著しく低い価格で譲渡すると、時価で譲渡したものとみなされて課税されるリスクがあります。
M&Aや第三者への売却では、DCF法や類似会社比較法などの企業価値評価手法を用いて価格を検討し、最終的には当事者間の交渉によって取引価格が決まります。
税務面では、個人が法人へ非上場株式を時価の2分の1未満の著しく低い価格で譲渡した場合には、みなし譲渡課税の対象となる可能性があります。
実務面では、少数株主が株式を手放そうとする際に、決算書などの詳細情報を開示してもらえず時価の妥当性を検証できない、あるいは根拠を示されないまま不当に安い価格を提示される、といったトラブルが生じるケースもあります。
非上場株式の時価は場面ごとに基準が異なり、会社の資産状況や株主区分によっても変動する複雑なものです。専門知識がなければ、提示された価格が妥当かどうかを見極めることも困難です。
不利な条件で手放してしまうことを避けるためにも、税理士や弁護士などの専門家に相談し、客観的な根拠に基づいた適正な時価を確認した上で手続きを進めることが重要です。
以下のページでは、状況・お悩み別に相談できる専門家を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
非上場株式の取引は、上場株と違い法的手続きや税務対応が複雑なため、専門家への相談が不可欠です。
ここでは、弁護士・税理士・M&A仲介会社の中から、目的別に信頼できる3つの相談先を厳選してご紹介します。
一部の株式買取業者は、無登録での営業や詐欺的な手法、非弁行為(弁護士でない者が弁護士の業務を行うこと)など違法性が問題視されており、大阪高等裁判所2024年7月12日判決では株式買取業者の行為が非弁行為にあたると判断された判例もあります。また、高額買取をうたって実際は買い叩くケースもあるため、一定のリスクがあることを理解したうえで相談することが重要です。
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