非上場株式の買取価格をめぐって会社側と折り合いがつかないとき、売り手は裁判所に対して「売買価格決定の申立て」を行うことができます。裁判所に売買価格の決定を求める手続きである一方、時間や費用の負担が生じる側面もあります。
本記事では、売買価格決定の申立ての概要や流れ、負担、そして争いに至る前に押さえておきたいポイントについて解説します。
売買価格決定の申立てとは、譲渡制限株式について会社(または会社が指定した買取人)が買い取ることになった場合に、売買価格の合意ができないときに、会社または譲渡等承認請求者が裁判所に対して価格の決定を求めることができる手続きです。会社法第144条に規定されています。
会社に対して譲渡承認を請求した株主が承認を得られず、会社または指定買取人が株式を買い取ることになったものの、協議の過程で提示された買取価格に納得できないケースが典型的です。話し合いで売買価格について合意できない場合に、裁判所による価格決定を求める手続きです。
売買価格決定の申立ての前提として、株主から会社への譲渡承認の請求、そして承認が得られなかった場合の会社または指定買取人による買取通知が必要です。買取通知が行われると、売買価格については会社と譲渡等承認請求者との協議によって定めることになります。協議がまとまらない場合には、会社または譲渡等承認請求者が裁判所に売買価格の決定を申し立てることができます。
売買価格決定の申立ては、会社または指定買取人から買取通知を受けた日から20日以内に行う必要があります。この期間内に申立てがなく、かつ当事者間の協議も成立しない場合は、原則として1株当たりの純資産額に対象株式数を乗じた額が売買価格となります。
申立てが受理されると、裁判所は会社の資産状態やその他一切の事情を考慮して価格を決定します。裁判所は、当事者から提出された資料や株価算定書などを踏まえ、必要に応じて鑑定人による鑑定を行うなどして、売買価格を決定します。
売買価格決定の申立てから裁判所による決定までには、一定の期間を要します。特に、鑑定人による鑑定が行われる場合などは、手続きが長期化する可能性があります。
弁護士費用や鑑定費用などの負担が発生することがあります。費用の具体的な金額や負担者は、手続きの内容などによって異なるため、申立てを検討する段階で専門家に確認しておくことが重要です。
裁判所を通じた手続きに至ることで、会社側との関係が悪化するおそれもあります。一部の株式を手元に残すなどして、少数株主として引き続き会社と関わる場合には、手続きによる影響も考慮して対応を検討する必要があります。
買取価格の交渉は、通知を受け取った直後の初期対応がその後の展開を大きく左右します。株価算定の経験が豊富な弁護士などの専門家に早い段階で相談し、交渉の方針を組み立てておくことが、争いを未然に防ぐうえで重要です。
会社側の提示額に異議を述べるためには、客観的な根拠に基づく株価算定が欠かせません。専門家に株価算定を依頼し、交渉テーブルに具体的な数値と根拠を示すことで、価格の妥当性を検証しやすくなります。
売買価格について協議している場合でも、申立てには20日の期限があるため、期限を意識して対応する必要があります。申立てを行うかどうかを含め、早い段階で専門家に相談することが重要です。
売買価格決定の申立ては、譲渡制限株式の買取価格について当事者間で合意できない場合に、裁判所に価格の決定を求める手続きです。申立てには20日以内という期限があるほか、弁護士費用や鑑定費用などの負担が発生する場合もあります。
会社から提示された買取価格に納得できない場合は、株価算定の根拠や申立ての期限を確認したうえで、交渉を続けるか、裁判所への申立てを行うかを検討することが重要です。非上場株式の売買や株価算定に詳しい専門家に早めに相談することで、状況に応じた対応を検討しやすくなります。
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